« スタートレック | トップページ | 小澤征爾さんの番組 »

2009/06/21

クリスチャン・ツィメルマン サントリーホール

6月10日(水) サントリーホール
♪J.S.バッハ:パルティータ第2番 ハ短調 BWV826
♪ベートーヴェン:ピアノソナタ 第32番 ハ短調 op.111
♪バツェヴィチ:ピアノソナタ第2番
♪シマノフスキ:ポーランド民謡の主題による変奏曲 op.10

コンサートに行ってからあっと言う間の10日間。今でもずっと細胞の中にツィメルマンのピアノの音が浸透していて、幸せに満たされております。

この日もLAブロック。ステージに出てきて、ホールを見回してすっと座るやいなや弾き出す。この最初の一音から、もう今日は上機嫌でアクセル全開、助走無し・・・と伝えられた響きでした。バッハといえば、なんとなく、曲のどこかに、音楽の縦線横線がピタッと合って、等間隔の階段を淡々と登っていくような、そしてそれ故に、気持ちが高揚してくるような感じがあると思っていたのですが、バッハを完全に自分の細胞にしてしまった人の演奏というべきではないかと・・・。なんと言うべきか、バッハをこんなに感情豊かに弾けるものなのか・・・というか、もうとても言葉では表せない、美しさとか楽しさとかが勢いあまってあふれ出てきて、とめどなく☆をまき散らして、天の川に投げ込まれたかのような感動を味わいました。天の川がどんなかは知らないんですけれど、とにかくそこら中がキラキラしていて、もうまぶしくて目を開けていられないような感じだったんです。

1曲聞いただけで、ドッキン、ドッキンしちゃって軽く疲れたくらいでした。しかも、Aプロのようにブラームスで心穏やかになるという事がないBプロ。4曲最後まで聴くのも大変な事だわ、と不安になったくらい。(笑)嬉しい不安ですけれど。

続く、ベートーヴェン。前回は、行き先不明の初めて乗ったジェットコースターみたいなスリルと興奮でしたので、今回は多少なりとも心の準備が出来ていたつもりでしたが、最初のバッハでのクラクラのまま、気がついたら2楽章にはいっていました・・・。本当に美しく優しく包み込むようなソナタでした。聞いていると、気持ちが羽のようにふわりと浮かび上がるような気がして、それがとてもゆっくり地面まで落ちてくる間に、様々な景色が俯瞰で見えて、幸せを感じる・・・。

ここで休憩。こういう演奏を聞くと、ジャパンアーツのチラシに必ず孤高の演奏家って書いてあるのが、なんだかなぁと思います。とても暖かくて、熱い演奏で、幸せにしてくれて・・・。孤高からはほど遠いと思うのですけどね・・・。見回してみると、やや空席がありました。聞き慣れないプログラムだと、満員にはならないですね。今回は演奏会が多いし。ここで呼吸を整えて、後半へ。

バツェヴィチのピアノソナタ第2番がまた聞けるとは、なんと幸運なことでしょう。と思いましたが、弾く人にとっては体力、気力、150%消耗みたいなプログラムですよね、たぶん。そして強烈な熱演。この曲がものすごく好きで弾いているんだなぁ・・・とビシビシと飛んでくる情熱を感じました。

そしてシマノフスキ。バツェヴィチだって、とんでもない熱演だったのに、シマノフスキはそのさらに上を行く発熱の熱演。ツィメルマンとピアノが一体となって、ものすごいエネルギーを放出しているのが目に見えるようでした。情熱に押し切られるようでもあり、渦に引き込まれるようでもあり、まばたきすることさえ忘れてしまうような…。

この夜は、ぐったりする位に気持ちが高揚して沸騰したような演奏会でした。拍手なりやまず、何度も何度もステージに呼び出されていましたが、何もかも出し切ったような清々しい笑顔が、この日の演奏が満足のいくものだった事を物語っているようでした。そう言えば今回は、PやLAブロックにも目線をあげてましたね。前回は、まっすぐ戻って行っちゃってましたから…。

すっかり放心状態で、友人と喉の渇きを癒しましょうと、ホールにほど近いレストランで、ビールで乾杯。素晴らしい音楽の後のアルコールは幸せの味。・・・演奏を思い出しつつ幸せにどっぷりと浸っておりました。2杯目のビールを注文した頃でしょうか・・・。見目麗しいあの方が、レストランに入ってきたのでありました。おお・・・。お疲れさまでございました。

« スタートレック | トップページ | 小澤征爾さんの番組 »

クラシック音楽」カテゴリの記事

コメント

重厚なプログラムですね。
これは弾く方も聴く方も相当気合が入りますね。
各曲目の感想を読みながら、ツィメルマンのエネルギーが文章を通してこちらに伝わってくるような気がして私まで力が入ってしまいました。

で、なんですって?
ツィメ様とレストランで遭遇したんですか~eye
く、詳しく聞かせて下さい!!(ミーハー)

noteバラードさん、こんばんは!
あらためてツィメルマンという人、演奏家のスゴサ、すばらしさ、深さ…を感じました。
このプログラムを聞けた幸せをしみじみ感じております。
すぅっとお店に入ってこられて、数名の方達とお食事されていました。
とても穏やかな空気が流れていました。
こちらは、ドキマギしちゃいました…。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/67926/45416253

この記事へのトラックバック一覧です: クリスチャン・ツィメルマン サントリーホール:

« スタートレック | トップページ | 小澤征爾さんの番組 »

フォト